ダイシと豆の鬼、南無阿弥陀籤
大師といっぱ一般に弘法大師空海のことで、その真言の伝法は、弥勒八幡山(東寺)や高野山から全国に布教された。首都圏では、成田山や高尾山が真言宗寺院として有名である。また、お大師様を御本尊とするような大師信仰もあり、それこそが四国遍路の基本であるが、東国にも川崎大師がある。因みに隣には若宮八幡宮があり、境内社には道祖神・金精神の類の金魔羅様が祀ってあり、川崎の街の色気とも因縁があると思われる。
さて関東では、大師というと比叡山延暦寺の中興の祖、元三大師良源の方であることも多い。関東厄除け大師は、弘法大師を祀る三大と元三大師を祀る三大が各々あって紛らわしい。都内では、浅草寺と並ぶ古刹である深大寺も、厄除元三大師として有名。昔、つげ義春の「無能の人」のように多摩川近くに住んでいた頃、よく蕎麦を食べに詣で、有名なダルマ市を覘いて、水木しげるの妖怪茶屋で一服したものである。
深大寺の名は深沙大将という鬼神が由来で、唐の玄奘三蔵法師が天竺への旅中に砂漠で遭遇し守護されたという話がある。「西遊記」の河童もどきの妖怪、沙悟浄のモデルであり、更にその起源を辿れば、天竺祇園精舎の鬼神、アングリ魔羅との説もある。十年程前に私は寄贈されたオートバイで、かの砂漠であるとされる現アクサイチン地区を一週間ほど疾走しチベット入りした。滞在許可も運転免許も無かったが、巡礼の深く大いなる霊力の前には、天下の法は無力にして、あらゆる難関門を通過したのであった。
| 元三大師と角大師『天明改正 元三大師御鬮繪抄』 |
話を元三大師に戻そう。良源が自ら鬼となり疫病を払った姿が角大師で、その護符が玄関に貼られている家は多い。33体の豆粒のような大師像の姿絵は、豆大師という。また元三大師は、御神籤(おみくじ)の創始者ともいわれる。阿弥陀籤もこの派生であろう。タケちゃんマンに唯一勝利したアミダばばあ(テレビ番組「オレたちひょうきん族」)が懐かしい。明石家さんまの名の由来は知らぬが、アカーシャ三昧(虚空蔵菩薩の境地)と解すこともでき、戯け話は尽きないのである。
南無大師常住金剛を崇敬するようになってから、すこぶるクジ運が付いた。ビックリマンチョコの景品シールで、お目当てのシールばっかり当たるのだ。小学四年生の頃、最初期のビックリマンブームが来て、人並みにチビチビ買い集めていたが、隣のクラスのスネ夫が一箱大人買いをしやがって、お菓子の方を公園のゴミ箱に大量に捨てていたのを見て、スッカリ興が冷めたのだが、この度三十年ぶりに購入した。いい歳こいて数個だけのお子ちゃま買い。そしたら当たり当たり全部アタリ! 子供に返って喜ぶ、是もまた、復興也? 興に乗じ、昔の中古シールも通販で物色。一枚数万円なんてプレミアの付いているものもあるのだが、お目当てのシールは、千円位だったので大人買い。。。
勢いで年末ジャンボ宝くじにも手を出してしまった。十枚だけ。神棚に飾ったビックリマンシールに手を合わせ、当たり給へ当たり給へと拍手百八。すっかり当選するものと確信してしまい、取らぬ狸の皮算用。市内の高級マンション巡りなどをしながら夢を見たが、結局は当然の如くハズレ。博打は駄目みたいだ。気を取り直し、ドラゴンボールマンチョコという漫画とのコラボものビックリマンを一つだけ買ったら、来たぜ神龍、いきなり的中! やはり、十余年の修行の賜物だと思う。どうだ、すごいだろ! オレはこの力によって、天井桟敷から天下を眺め、ブツブツ言ってる訳さ。皆の衆も頑張れよ!
少年よ、大師を抱け。Boys Be, Sid Vicious.